-
労災で不支給処分を受けた方の事例
-
職業/業務内容
工場作業員
-
症状
肺がん
-
現在の状況
故人
-
年齢
80代
-
勤務形態
正社員
-
ばく露時期
昭和30年(1950年)代~平成40年(1970年)代
-
ばく露年数
約15年
-
ばく露した状況
工場でアセチレンガス製造作業に従事
-
申請をお勧めした給付金制度
①労災保険(審査請求)
-
ご相談者
奥様
①ご相談内容
ご主人が肺がんで亡くなったとのことで、奥様と娘様がご相談にいらっしゃいました。
被災者は、昭和30年代から40年代にかけて、15年ほど、工場でのアセチレンガス製造作業に従事していた。木炭と石綿紛を混合したものを作製する際に、アスベストの粉塵にばく露した。
被災者は、生前に労災保険へ申請していたが、不支給処分がなされてすぐに亡くなった。
不支給処分の理由は「石綿ばく露作業が確認はされたが、医学的所見上、石綿によって発症した肺がんと認められない」というものでした。
- 1. 不支給処分となり労災が認められなかった本件のような場合、何か手はないのか。
- 2. また、労災が認められる見込みがあるかどうかを知りたい。
以上のようなご相談をお受けしました。
②弁護士からのアドバイス等
1.審査請求
労災保険の処分に納得がいかない場合、「審査請求」と呼ばれる不服申立ができます。場合によっては、労災を諦めて別の制度へ申請するという方法もありますが、本件では、奥様から「もう一度労災側に審査をしてほしい。」とのご要望があったことなどから、審査請求をお勧めしました。
審査請求は、処分を受けてから3か月という期限がありますので、注意が必要です。詳しくは、厚労省のHPをご覧いただくか、専門家へお尋ねください。
2.保有個人情報開示
労災が認められる見込みがどれくらいあるか、とご質問がありました。最終的に判断するのは労働局・労基署ですので断言はできませんが、公開されている認定の要件から、ある程度予想することは可能です。認定の要件のどこが問題となって不支給処分だったのかを知るため、まずは保有個人情報開示制度を利用してはどうか、とアドバイスをいたしました。
その結果、「どういう調査がされて、どういう理由で結論が出たのか」きちんと詳細なものを知りたいとのことでしたので、保有個人情報開示サポートのご依頼を頂き、受任いたしました。
③所感・まとめ
審査請求には、「労災保険給付の決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内」という期限があります。本件では、不支給処分がなされてから比較的すぐに、当事務所へご相談いただけましたので、審査請求をアドバイスすることができました。もし時間が経っていたら、審査請求という道は閉ざされていました。
不支給処分の通知を受け取った方は、今すぐ、専門家へご相談ください。また、労災への申請は済んでいて現在決定通知を待っているという方も、万が一、残念ながら不支給の通知が来た場合には、すぐに専門家へご相談なさることをお勧めいたします。