事例11
  • 間質性肺炎で亡くなった造船工の事例

  • 職業/業務内容

    造船工

  • 症状

    間質性肺炎、石綿肺の疑い

  • 現在の状況

    故人

  • 年齢

    80代

  • 勤務形態

    正社員

  • ばく露時期

    昭和32年(1957年)代~昭和62年(1987年)代

  • ばく露年数

    約30年

  • ばく露した状況

    造船工として長年造船工場で働いていた。造船作業や解体作業、修繕作業の際に、アスベストにばく露した。

  • 申請をお勧めした給付金制度

    ①労災保険

  • ご相談者

    被災者の子

①ご相談内容

亡くなったお父様が、生前、アスベストの話や同僚が給付金を貰った話をよくしていたとのことで、当事務所にお問合せくださいました。お父様が対象になる給付金があるなら、その給付金制度について詳しく聞きたい、とのご要望でした。

②弁護士からのアドバイス等

1.各給付金制度の概要のご説明

アスベスト被害に関する給付金は、大きく分けて3つあります。①労災保険、②石綿健康被害救済制度、③建設アスベスト被害救済制度です。まずは、これらの制度の概要をご説明いたしました。

2.申請をお勧めする給付金制度

労災保険への申請をお勧めしました。お父様は長年、大手の造船工場にお勤めであって、同僚の方も労災認定されていると伺いましたので、業務上でばく露したことの証明はクリアできそうである旨をご説明しました。一方で、死亡診断書の記載が「間質性肺炎」「石綿肺の疑い」となっていたことから、アスベスト給付金の対象である石綿関連疾病であるとしっかり立証していく必要がある旨をご説明しました。専門機関での適切な審査を受けるため、労災保険に申請することをアドバイスいたしました。

3.労災保険の、遺族補償年金と遺族補償一時金

(1)遺族補償年金

遺族補償年金とは、その名のとおり、被災者の遺族に対して支給される年金のことです。年金ですから、受給者は継続的に一生涯に渡って年金を受け取ることができます。遺族補償年金は、受給権者の順位が定められていて、たとえば、順位1位は「妻または60歳以上か一定障害の夫」、順位2位は「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定障害の子」などです。
本件の場合、お母様(被災者の妻)は既に亡くなっており、受給権者に当てはまるご家族もいないことから、遺族補償年金は対象外であることをご説明しました。

(2)遺族補償一時金
遺族補償一時金とは、遺族補償年金の対象となるご遺族がいない場合で、特定の条件を満たすご遺族がいる場合、受け取れる給付金のことです。一時金ですから、認定された場合には、まとまった金額が一度に支給されます。
本件では、遺族補償年金は対象外でしたので、こちらの遺族補償一時金の対象となるかを確認いたしました。すると、被災者の一人息子であるご相談者様は最先順位の受給権者でしたので、遺族補償一時金受給を目指して、労災申請していくことをアドバイスしました。

③所感・まとめ

お父様は生前、アスベスト被害についてよく話しておられたと伺いました。本件のように、ご本人やご家族がアスベスト被害なのではと思っていても、日々の闘病や介護に追われて、なかなか調べたり申請したりできないままになってしまっていた、というケースは少なくありません。
しかし、治療中に労災保険の認定を受けることができれば、療養保障給付や休業保障給付が支給されますので、治療費や生活費の心配なく、治療に専念することができます。そのため、当事務所ではできるだけ早い治療中の段階でご相談いただくことをお勧めしています。
また、たとえ亡くなってからご遺族が申請した場合であっても、労災保険の認定を受けることができれば、遺族補償年金や遺族補償一時金、葬祭料などが支給されます。案件にもよりますが、たとえば、遺族補償一時金が認められた場合、遺族補償一時金だけで2000万円以上、その他の支給金と併せれば2500万円以上になる方もいらっしゃいます。
ご自身で申請するのは大変であっても、専門家にご依頼いただくことで、申請のご負担を減らすことができます。呼吸器疾患の方ご本人やご家族で、アスベスト被害ではないか、と思い当たる方は、お気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。