後遺障害等級の認定は、「障害等級認定基準(昭和50年9月30日付基発第565号別冊)」に基づいて行われます。この認定基準によって、身体の部位ごとに、どのような障害が残っていればどの程度の後遺障害等級が認められるかが定められております。 そして、この認定基準は医学の進歩とともに、身体の部位ごとに度々改正されております。例えば、近年顔などにやけどや傷跡が残った場合(外貌醜状)の障害等級の見直しが行われ、平成23年2月1日に外貌障害の障害等級の認定基準が改正されました。
後遺障害の等級認定を適正化するためには、障害等級認定基準の内容や改正された基準の内容、改正の経緯などを正しく理解して障害(補償)給付・障害給付申請に関連する手続に取り組む必要があります。また、後遺障害等級の認定をしてもらう手続(障害(補償)給付・障害給付の申請)を行った後に実際にはどのような流れで認定手続が進んでいくのか、その実務の流れを把握しておき、適切なタイミングで適切な手段を講じることができるようにしておく必要もあります。
障害等級の認定基準は身体の部位ごとに多岐に渡るため、ここでは申請後に行われる調査の概要を紹介致します。管轄労基署が障害給付の請求を受けた場合、当該労基署の労災課に所属する労災担当調査官が、その請求についてどのような後遺障害等級を認定すべきか、障害等級の認定をする場合は給付額をいくらとするか、などを独自に調査し、保険給付実地調査復命書を作成し、上司の決裁を受けます。その上で、労基署長が支給・不支給の決定を行います。
具体的には以下のような調査が行われます。
・労災被災者本人からの事情聴取
・主治医意見に対する意見書の提出依頼
・専門医(主に労災病院の医師など)に対する意見書の提出依頼
・専門医等による診察や検査結果の収集
・事業主への資料(主に賃金関係)提出依頼
・労災被災者本人の医療情報(カルテ、検査結果(検査画像等含む)、健康診断結果など多岐に渡る)収集
・申請時の添付資料(後遺障害診断書等)及び調査により収集した資料の検討(署内検討会を含む)
調査期間については標準処理期間が定められており、おおむね6か月以内に調査を終了させるようにという指標が定められておりますが、事案によってこれ以上の期間がかかることもあります。また、傷病の種類によって調査要領が定められているものもあります。事案や傷病の種類にもよりますが、適正な等級認定を受けるためには、被災者本人側においても、障害の内容に応じた障害等級認定基準をしっかりと理解した上で独自に調査・証拠収集を行い、調査結果や収集した証拠の提出を行うなど、調査官への働きかけが重要な場合もあります。障害(補償)給付・障害給付の申請は、適正な後遺障害等級を獲得する上で重要な場面ですので、あらかじめ労災障害等級認定実務について知識・経験を有する弁護士へご相談されることを強くお勧め致します。
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