転倒・転落による事故

墜落・転落事故の特徴

墜落・転落事故は業務中の事故の中でも数が多く、重症化しやすいケースです。
次のグラフ(平成30年事故の型別労働災害発生状況)をご覧ください。
(出典:厚労省「労働災害発生状況」)

このように、墜落・転落は、死亡災害の原因第1位、災害全体で見ても原因第2位と、労働災害の中で大きな割合を占めます。また、墜落・転落は、頭や全身を強く打つなどによって身体へのダメージが大きく、死亡や重度後遺障害などに繋がりやすい事故といえます。
 

会社、元請けに対する損害賠償が可能なケースも

重篤な後遺障害を負ったり、お亡くなりになることが多い墜落・転落事故では、相応の補償(数百万円から数千万円)がなされることが少なくありません。

また、労働現場の管理責任について、「安全配慮義務違反(社員が安全で健康に働くことができるように配慮する義務)」や「不法行為責任(事故の原因が企業の組織、活動そのものを原因とするような場合や、労働現場の建物・設備に危険があった場合などに認められる責任)」などを根拠として会社に対して多額の損害賠償請求が認められるケースも多いのです。

さらに、被災者が派遣労働者(例えば、警備員として派遣元から工事現場へ派遣される)で、派遣先(例えば、工事の元請会社)との間では雇用契約がなかったとしても、実質的な使用従属関係が認められて、被災者の派遣先に対する安全配慮義務違反や不法行為に基づく損害賠償請求が認められたケースもあります。
 


【参考判例】

製缶工場に派遣されていた労働者が死亡。派遣先(工場側)の労働者に対する安全配慮義務違反及び不法行為責任を認めたケース(東京地判平20.2.13判タ1271号148頁)

「注文者と請負人との間における請負という契約の形式をとりながら、注文者が単に仕事の結果を享受するにとどまらず、請負人の雇用する労働者から実質的に雇用契約に基づいて労働の提供を受けているのと同視しうる状態が生じていると認められる場合、すなわち、注文者の供給する設備、器具等を用いて、注文者の指示のもとに労務の提供を行うなど、注文者と請負人の雇用する労働者との間に実質的に使用従属の関係が生じていると認められる場合には、その間に雇用契約が存在しなくとも、注文者と請負人との請負契約及び請負人とその従業員との雇用契約を媒介として間接的に成立した法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入ったものとして、信義則上、注文者は、当該労働者に対し、使用者が負う安全配慮義務と同様の安全配慮義務を負う」


 
しかしながら、このようなことを知らずに労災保険からの給付のみを受け取って終えてしまっている(終えさせられている)方が多いのも事実です。
 

墜落・転落事故防止のための法令の規定

主に労働安全衛生法・労働安全衛生規則において、墜落・転落防止のために事業者が行うべき管理等が規定されています。

・足場(単管足場・枠組足場・移動式足場・脚立・うま足場など)
・作業床(固定式作業床・移動式作業床など)
・開口部(作業床の端部含む)
・安全ネット
・安全帯(墜落制止用器具)
・斜面での作業
・昇降・渡り通路整備(移動梯子・タラップなど)
・安全通路整備など

例えば、最近の安全衛生規則の改正(平成31年2月1日施行)では、墜落防止のための「安全帯」が「墜落制止用器具」と安全衛生規則上に名称が改められました(安全衛生施行令13条3項28号)。

それに伴って、従前は、①胴ベルト型(一本吊り)、②胴ベルト(U字吊り)、③ハーネス型(一本吊り)が高所作業時の墜落防止器具として認められていましたが、①・③のみが「墜落制止用器具」として安全衛生規則に則った器具となりました(「墜落制止用器具の規格」(厚生労働省告示第11号)第3条1項・2項)

また、墜落制止用器具はフルハーネス型のみが原則となり、高さ6.75m以下の作業時のみ上記①胴ベルト型の器具を使用可能と改められました(「墜落制止用器具の規格」(厚生労働省告示第11号)第2条1項)。
 
 
【フルハーネス型墜落制止用器具】
(出典:厚労省「「安全帯の規格」を改正した新規格「墜落制止用器具の規格」を告示しました」)

さらに、事業者が、労働者に高さ2m以上の作業に係る一定業務を行わせる場合には、高所作業に関する安全衛生特別教育を受けさせる必要があることになりました(労働安全衛生法59条3項、労働安全衛生規則36条41号、安全衛生特別教育規程24条)。

安全衛生法等の法令に違反していることが、即ちに安全配慮義務違反又は不法行為責任が認められるわけではありません。
しかし、重大事故につながりやすい墜落・転落事故を減少させるべく安全衛生法等の改正が行われており、これらの法令に違反して生じた事故に関しては、安全配慮義務違反又は不法行為責任が認められやすいと言えるでしょう。
 

会社・元請けに対して過失を追求するために

労働災害では、さまざまな角度から「事故を起こさないために全力で被害者の安全に配慮したのか」という検証が行われます。
墜落・転落事故が発生したとなれば、下記のような点で、会社・元請けの過失が追及されることになります。

・落下防止のための柵や帯など、十分な策は施されていたか
・被災者の健康状態を把握していたか
・作業工程には時間的な無理はなかったか

しかしながら、会社や保険会社とのやり取りはとても煩雑で殺伐としたものであり、初めて労働災害に遭われた方がそれを行うのは困難を極めますし、事故態様に関する資料の収集も容易ではありません。

ほとんどの方が労働災害に遭うこと自体初めての経験ですから、ご自身ではよく分からないことが多く、どのように交渉を進めればよいか悩ましく、お忙しい中で非常にストレスに感じられることと思います。

また、会社側も「労働者(=あなた)の自損事故であり、会社に責任はない」「労働者に大きな過失があった」というように「安全配慮義務違反がない」と主張したり、仮に会社の責任を認めても「過失相殺(割合)」で大幅減額を主張してくる場合が少なくありません。そのような時にも、弁護士はあなたの味方となり、適切な主張を行います。

弁護士は、労働災害の賠償についても熟知しています。複雑なやり取りについては、ご依頼いただくことでスピーディーに進めることができます。

転倒・転落事故に遭われた方やご遺族の方は、ぜひ一度ご相談ください。
 

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