被災者は、商業施設の建設工事現場において、地下2階の機材搬入用開口部から、6メートル下にある地下3階に、約4メートルのパイプを投げおろしていました。
その際、足場用板と誤って、型枠用下拵材である厚さ約1センチメートル程のベニヤ板に乗ったため、これが折れ、地下3階にまで墜落しました。これにより、開放性頭蓋骨陥没骨折による脳裂傷の傷害を負い死亡しました。
(札幌地判昭和53年3月30日判例時報923号104頁)
約2200万円
雇用契約において、雇主は従業員に対して、労務に服する上で生命及び健康等を害しないよう配慮する義務(安全配慮義務)があります。そして、従業員の直接の雇主である下請人だけでなく、元請人も工事上の指図・監督を通じて、下請人の従業員に支配が及んでいたといえるため、元請け人も同様に、安全配慮義務を負っていました。
本件での安全配慮義務とは、具体的にどのような義務を負っていたのかというと、以下の通りです。
・仮設でも良いので手すりが設置されるべきであった
(手すりがあれば転落を防止できた可能性が考えられる)
・高所作業に関する安全教育を十分に施すべきであった
(より安全に階段等を利用して、パイプを移動させる方法をとることができた可能性が考えられる)
・作業終了後の資材の点検が行われるべきであった
(ベニヤ板が足場板と並んで放置されるような事態は起こらなかった可能性が考えられる)
裁判所は、上記の安全配慮義務違反を認め、被災者の直接の雇用主(建設工事の下請人)の会社だけでなく、建設工事の請負人の会社にも損害賠償を命じました。
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