運輸会社(以下「被告会社」という)の荷さばき場において、人と荷物で混み合う中、フォークリフト運転者(以下「被告A」という)が後方確認不足及びバック・ブザーを鳴らさなかったことにより、被災者に衝突・轢過してしまった事故です。
被災者は、本件事故により、右第一中指骨骨折の怪我を負い、右足関節可動域制限及び右足第一中指骨基部に頑固な神経症状の後遺障害が残りました。
被告Aには、上記のとおりの過失があり、事故当時出勤していなかった被告Aの上司である被告会社の支店長(以下「被告B」という)にも、現場管理監督者として指導の不徹底及び管理不行き届きの過失が認められた事故です。
(東京地判平成18年4月7日労働判例918号42頁)
約1520万円
本件事故の場合、争点は3つありました。
被告会社が定めたフォークリフト安全作業マニュアルでは、フォークリフトでボックスを運ぶ際は、以下のように明記されていました。
【原則として、バック運転で安全を確認しながら行うこと、後方の障害物の有無、他の作業者の状況を確認しながら行うこと、速度を落として、後ろを振り向き慎重に走行すること、倉庫・上屋・屋内での運転には十分気を付けること、必ず指定された場所を走行・作業すること、構内のフォークリフトの走行通路の標示・標識・エリアを遵守し、走行中は人が最優先であること】
しかし、人と荷物が混み合う場所を被告Aが後方を確認せずに、しかもバック・ブザーも鳴らさずに走行したことは、過失が認められる。
本件事故以前に、被告Bの指示のもとで、被告Aはフォークリフト業務を行っていた事実関係があるので、被告Bには構内現場の管理監督者としての責任があります。
被告らは、本件事故当時出勤していなかったことや安全教育を実施していたと主張するが、フォークリフトのバック・ブザーについての指導・管理、構内における作業員の荷さばき作業とフォークリフトの稼働の棲み分けについての指導・管理などの点について現場管理監督者である被告Bの指導の不徹底及び管理不行届があったと考えられる。
一方、被災者も後方を確認せずに被告A運転のフォークリフトと衝突したことを考えると、同車両がバック・ブザーを鳴らさなかったために、その存在に気が付かなかったという点においては被災者に1割程度の過失を認めるのが相当である。
裁判所は、以上のように、運転手の注意義務違反及び上司の管理監督義務違反並びに運転手所属会社の使用者責任を認め、一方、被災者に1割の過失相殺を適用した上で、被告側に損害賠償を命じました。
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