自動車による労働災害のために運行供用者責任が認められ、被災者と直接雇用関係にない会社に損害賠償を請求が認められた裁判例

事故の概要

製砂プラント工事現場において、クレーン車を使用し、鋼管(重さ166キログラム、長さ5.5メートル、直径216ミリメートル)を移動させるべく、一本掛けの玉掛けをした鋼管を事故車のクレーンのフックに掛けて水平に吊り上げ、そのままの状態でクレーンを回転させ、約30メートル移動しました。

クレーン運転手が、玉掛けした鋼管を目的地でおろそうとした際に、一本掛けロープでバランスをとっていた銅管が傾き、一方の端が着地し、銅管がほぼ垂直状態になったため、玉掛けしたロープから抜けてしまい、支持を失った銅管が転倒、付近で作業をしていた被災者の背面に衝突し、原告が脊髄損傷による下半身完全麻痺、腸管機能障害及び尿路機能障害等の障害を負い「常に他人の介護を要する」として、労災保険及び自賠責保険において一級三号の認定を受けました。
(東京地判昭和57年12月23日交通事故民事裁判例集16巻6号1734頁)

   

認められた損害賠償額

約4900万円(家族への慰謝料も含む)

損害賠償が認められた理由・解説

当事者の関係は、以下のとおりです。

 A社=被告①:クレーン車の所有者で、B社にクレーン車をリース(賃貸)した。
 B社=被告②:クレーン車をA社から借り受け、自社の運転手付きで、更にD社へ賃貸した。
 C社=本件事故現場の工事の元請人。
 D社=本件事故現場の工事を、C社から下請けした。クレーン車をB社から借り受けた。
 E社=本件事故現場の工事を、D社から孫請けした。
 F社=被災者の所属先:本件事故現場の工事のうち、ダクト配管取付け工事をD社から請け負った

       
このような複雑かつ重層的な請負関係にある中で、被災者は、直接雇用関係のないA社及びB社に対して損害賠償責任が問えるか否かという点が争点でした。

結論として、裁判所の判断は以下の通り、

・クレーン車がD社に賃貸されていたとしても、A社及びB社がクレーン車の運行支配を喪失していた事情は見当たらない為、A社及びB社には運行供用者としての責任が認められる

・運転手は、一本掛けだけでは滑落の危険があることを考え、事故を未然に防止する注意義務を怠り、銅管を漠然と吊り上げて移動した過失が認められる

として、A社及びB社双方に損害賠償を命じました。

運行供用者責任とは、自動車による人身事故が起きた際に、自動車の運行から利益を得ている立場にある『運行供用者』に対して、賠償責任を課す制度です。通称自賠法と呼ばれ、自動車損害賠償保障法の3条に規定されています。

労働災害でも、自動車が原因となる事故の場合には、自賠法が適応され、自動車を所有する会社に対して運行供用者責任を問うことができる可能性があります。

また、資力(支払能力)・保険適用・過失の立証負担の観点などから、直接雇用関係のない会社を責任追及先とすることがふさわしいことがあり、本件では、その観点からA社及びB社を責任追及先として選択し、成功した事例といえるでしょう。

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