配偶者が労災事故で亡くなってしまったら、家族はどうすればよいか?

配偶者が労災事故で亡くなった場合の、遺族補償年金、遺族補償給付の申請のポイントについてご説明します。

目次

死亡事故と遺族補償給付

労災事故の被害に遭って労働者が亡くなった場合には、労災保険より遺族補償給付が支払われます。ここでは、遺族補償給付の仕組みや配偶者・ご家族が遺族補償給付の申請にあたっての注意点などをお伝えします。

遺族補償給付の内容と申請要件

遺族補償給付は2つの制度の総称です。
遺族補償年金と②遺族(補償)等一時金です。

ここでは、①の遺族補償年金をご説明します。
遺族補償年金は、労災の被害にあって亡くなった労働者の収入で生活していたご家族に対して支払われる年金です。支給金額は、ご遺族の数に応じて、年金の受給額が変わります。ご遺族数がおひとりの場合には、給付基礎日額の153日分(ただし、その遺族が55歳以上の妻であれば175日分)が支給されます。

受給資格者となるのは、被災労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹です。ただし、妻以外の遺族については、条件があります。ご面談の際に、弁護士に直接ご確認ください。

受給資格者・受給権者の詳しい内容は、厚労省のパンフレットにも説明がありますので、参考にしてください。

労災と住宅ローン

生活費の中で大きな割合を占めるのが住宅ローンです。団体信用生命保険(いわゆる「団信」)に加入していれば、死亡の場合には、死亡時に団信で残りの住宅ローンが支払われ、完済となります。詳しくはご加入の団信や住宅ローンの金融期間ご確認・ご相談するとよいでしょう。

代表的な、団体信用生命保険取扱い金融機関である住宅金融支援機構の債務弁済条件はこちらをご参照ください。

過労死・脳・心臓疾患の場合の注意点

遺族補償給付は、遺族(厳密には、遺族補償給付の受給権者)が労働基準監督署長に申請します。

申請に必要な主な書類は、①死亡診断書や死体検案書などの死亡の事実がわかる書類②戸籍など被災者と遺族の関係性がわかる書類などです。

注意が必要なのは、過労死や脳・心臓疾患の証明資料です。例えば、月80時間の残業(いわゆる「過労死ライン」の残業時間)をしたため、急性心筋梗塞を発症し、死亡した場合、申請をするご家族・遺族は、業務(主には)と急性心筋梗塞との間の因果関係を証明する必要があります。証明できないと申請が通りません。

残業の記録などがきちんと残っていないことも多く、過労死・脳・心臓疾患による死亡は、労災保険の認定が難しいです。単に申請するだけでは認定されるまでに極めて時間がかかったり、資料が乏しいとして申請が認められないこともあります。

現に、過労死等防止対策白書によれば、脳・心臓疾患の労災認定率(支給決定件数/決定件数)は、令和元年度31.57%、令和2年度29.17%(第1-3表)、精神疾患の労災認定率(支給決定件数/決定件数)は、令和元年度32.09%、令和2年度29.17%(第1-14表)であり、十分な準備をして申請しなければ、労災認定されない実情にあります。

お早めに弁護士にご相談ください

早期に弁護士にご相談いただくことで、申請に必要な医学的資料・因果関係に関する立証のアドバイスだけでなく、遺族補償年金だけでは足りない生活全般の再建に必要な費用を、勤務先等への損害賠償請求を通じて獲得する方法など、幅広く労災についてご相談を承ることができます。ご家族がお亡くなりになったご遺族の方は、お早めに弁護士にご相談ください。

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