配偶者が労災事故で大けがをしたら、家族の生活費はどうなるか?

配偶者が労災事故で大けがをしたら、家族の生活費はどうなるのでしょうか?解説します。

目次

労災事故と労災給付

仕事中に大ケガをすると、労災保険から治療費などが支払われます。ここでは、ご主人が勤務中に高所から転落した事故の被害に遭った場合に、労災保険から具体的にどのような給付を受けることができるのかをお伝えします。

休業補償給付の内容と申請要件

ご主人のケガの治療費は「療養補償給付」から支払われます。問題は、ご本人を含むご家族の生活費の確保です。ご主人は、仕事中のケガが原因で仕事ができないのですから、休みたくて休んでいるわけではありません。

 生活費相当分を労災保険から受給する 

ここに休業補償給付の意義があります。

休業補償給付は、労災の被害にあって、働けない期間の生活の安定を図るための給付です。その申請要件は、3つあります。


労働者が、

  1. 業務が原因となった負傷や疾病による療養のため
  2. 労働することができず
  3. そのために賃金を受けていないとき

です。

労災と住宅ローン

生活費の中で大きな割合を占めるのが住宅ローンです。

ご主人が住宅ローンを組んだ時に、団体信用生命保険(いわゆる「団信」)に加入していれば、申請することで、住宅ローンが減免される可能性があります(特に、寝たきり等重度後遺障害の場合)。加入している団信や住宅ローンの金融機関にご確認・ご相談するとよいでしょう。

代表的な、団体信用生命保険取扱い金融機関である住宅金融支援機構の債務弁済条件はこちらをご参照ください。

休業補償給付に関する注意点

休業補償給付にはいくつかの注意点があります。ここでは主なものを紹介します。

労災保険は、ご主人のお給料を全額払ってくれるわけではありません。

給付額は、労災発生直近3ヶ月間の月給総額を3ヶ月の暦日数で割った1日あたりの賃金額(給付基礎日額)です。この給付基礎日額の6割+特別支給分2割を休業した日数分受給できます。そのため、生活全般の再建の観点からも、いかにスピーディーに申請できるかが重要になります。

給付まで時間がかかるので、早めに申請する必要があります。

ご主人の勤務先が「不注意で転んだから労災ではない」(いわゆる労災隠し)などと主張し、休業補償給付の申請がうまくできないことがあります。

②と③は、休業補償給付申請の仕組みが関係しています。休業補償給付申請は、労働者であるご主人が労働基準監督署長あてに行ないますが、労働者が書いた休業補償給付支給請求書に雇用主(ご主人の勤務先)が署名・押印する必要があります。③の可能性があるのはこのためです。さらに、入通院している病院にも、療養の証明をしてもらう必要があります。

これらの証明が終わったら、ご主人は労働基準監督署長に請求書を送ります。その後、労働基準監督署が審査をして、支給決定通知書をご主人に送ります。その後、決定額を指定口座に送金されます。第1回目の支給に関しては、早くても労基署の審査に申請してから1か月程度かかるとみておいた方がよいでしょう。

このような複雑な手続きをとるので、申請をしてから口座に着金するまでに日数を要します。

お早めに弁護士にご相談ください

休業補償給付の申請は、生活全般の再建にもかかわりますので、早期のご準備をおすすめします。

早期にご相談いただくことで、治療内容、検査内容、証拠保全や勤務先等への損害賠償請求などに関するアドバイスができます。お早めにご相談ください。

【参考】
労災保険 ー休業(補償)等給付傷病(補償)等年金の請求手順ー (厚労省HP)

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